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院長 田中康文

⑤片頭痛の誘因、空腹と片頭痛(西洋医学からみた頭痛Q&A:その5)


(片頭痛の誘因)

Q.片頭痛の誘因となるものにはどのようなものがありますか?

(空腹と片頭痛)

Q. 空腹を我慢していると片頭痛が起こる気がしますが、空腹と片頭痛は関係がありますか?







 

(片頭痛の誘因)

Q.片頭痛の誘因となるものにはどのようなものがありますか?

【回答】

さまざまなことが片頭痛の引き金、あるいは誘因になっています。生活習慣で言えば、睡眠不足、あるいは不規則な睡眠時間、寝すぎ、食事、空腹、アルコール飲用、ストレスなどが誘因となります。さらに、ホルモンバランス、環境因子である天候(気圧、温度、湿度など)、光、音などが密接に関係します。

片頭痛の患者さんは環境変化や心身のリズムの変化、体内ホルモンの変化などに対して脳が敏感に反応しやすいといわれています。「台風や低気圧が近づくと具合が悪くなったり、頭痛がする」などといわれる方が多いのですが、台風が接近してきたときの気圧や温度、湿度、特にその中でも気圧の急激な変化は血管を拡張させるとともに体のリズムが変化したと感じてしまうために片頭痛が発生するのではないかともいわれています。


気圧の変化により起こる頭痛として、そのほかに「飛行機頭痛」というのがあります。これは離陸や着陸のときに、気圧の急激な変化によって血管の拡張とともに副鼻腔内の空気が膨らむことで頭痛が起こるとされています。

このように「体の外の環境の変化」は体の中にも同じような変化が生じたり感じられることがあります。そのため、気圧ばかりでなく、なるべく温度差を少なくすることも大切です。

気圧が下がり天候が悪そうなときは無理のない予定を組むようにするとか、外出の際は着替え、タオル、羽織るものなど、温度調節ができるものを持って出かけたりするなど、気候や環境の変化への細やかな注意も必要です。そのほかに逆光など、光の強さが片頭痛の誘因になることも知られており、さらに蛍光灯の白色光は片頭痛を悪化させ、逆に緑色は片頭痛を和らげるという報告もあります。そのため、日中の太陽の光が強い時の車の運転や外出のときはサングラスをかけるなどの予防が必要となることもあります。

また、人ごみや騒音などによる劣悪な環境や強い香水などの臭いなどによって片頭痛が起こることもあり、このような環境を避けるとともに、柔軟剤などは香りの弱いものを選ぶようにします。またポニーテールや三つ編みといった強く束ねる髪型は、頭皮の神経が緊張して偏頭痛が起きやすくなるようです。また、派手な色の服や細かいチェック柄、派手なアクセサリーは目がチカチカして、偏頭痛持ちの人にとってはあまりよくありません。服装や髪型はシンプルでナチュラルな雰囲気を心がけ、アクセサリーもさりげないものを選んだほうがいいでしょう。

食べ物と片頭痛との関係についても多くの報告があります。

アルコールを飲むと片頭痛になることが多いのですが、これはアルコールが体内に入って分解されて、二日酔いの原因でもあるアセトアルデヒドに変わると血管を刺激して血管が

開き、片頭痛の誘因となります。それを防ぐには、まずは飲み過ぎないこと。アルコールのアセトアルデヒドの濃度を下げれば血管拡張が引きます。お酒を飲むときには水分も多めにとると、頭痛になりにくいです。

アルコールの中でも、特に赤ワインが頭痛につながりやすいといわれています。それは赤ワインに含まれているチラミンという物質が関係しているとされています。チラミンは血管を収縮させる作用がありますが、その収縮作用が消える際に、反動で血管が拡張して、偏頭痛を誘発するといわれています。チラミンを含む食品は、赤ワインのほかに、チーズ、チョコレート・ココアなどのカカオ製品、柑橘類などがあります。これらお食べると必ず片頭痛が起こるとは限りませんが、これらに感受性の高い人は避けた方が無難でしょう。

「中華料理店頭痛」はグルタミン酸ナトリウム入りの調味料が中華料理店ではよく使われることから、欧米ではこれが頭痛の遠因となるのではないかと言われていますが、日本で味付けに使われる量は欧米に比べて極めて少量です。

「ホットドッグ頭痛」というのは、ホットドッグの中に入っている亜硝酸塩という防腐剤が原因です。亜硝酸塩は狭心症治療に使うニトログリセリンという薬と似ているので、そういうものを食べると血管が開いて頭が痛むことがあります。

 

(空腹と片頭痛)

Q. 空腹を我慢していると片頭痛が起こる気がしますが、空腹と片頭痛は関係がありますか?

【 回答】

空腹を我慢したり、朝食を抜かす生活や過剰なダイエットなどは、血糖値が下がり、片頭痛の誘因となります。ブドウ糖は全身の細胞のエネルギー源となるため、生きるためは不可欠な栄養素です。そのため、血糖値が下がると、血糖値を上昇させる働きのあるノルアドレナリンやアドレナリンなどのホルモンが分泌されます。しかし、こうしたホルモンは同時に心拍数の上昇や脳の覚醒といった作用を持っているため、それにより脳の血管が過度に収縮・拡張して片頭痛の原因になると考えられています。また、低血糖時の脳への血流量の低下を補うため、血管が拡張しやすくなることも考えられます。


さらに脳内の片頭痛の震源地である視床下部には、空腹・満腹中枢があり、視床下部はまた自律神経の中枢でもあり、かつホルモン中枢の脳下垂体と連結しており、睡眠やストレス、体のリズムと深い関係があり、血統値が下がることにより視床下部が敏感に反応して、片頭痛を誘発する可能性もあります。

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