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fureaikanpou

尋常性白斑の著明改善例

尋常性白斑は皮膚の色を構成するメラニンを生成する


メラノサイト(メラニン細胞)が消失、


あるいは機能停止する慢性的な皮膚疾患と言われています。


その原因は、遺伝、自己免疫疾患、ストレスなどの環境要因の組み合わせにより


引き起こされるのではないかと推察されていますがその詳細は不明です。


西洋医学での治療は白斑部位に副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)塗布と


PUVA療法(紫外線治療)、最近ではナローバンドUVB(紫外線B波治療)も


行われていますが、私の経験では改善するどころか、かえって悪化したり、


白斑が広がる症例が多いように思われます。


私は尋常性白斑の多くの症例は内熱(特に陰虚内熱)によって


こもった熱によりメラニン細胞が障害され、その結果白斑が生ずるのではないかと思い、


熱を冷ます清熱に重点を置いて治療しています。


白斑は多くの場合、改善するのにかなり時間がかかり根気が必要ですが、


最近比較的短期間に白斑がほぼ消えた症例を経験しました。


症例は7歳男児(小2)


某年12月1日初診(遠方のためオンライン診療)


その年の3月に母親が右耳の真下にピンクベージュの色をした白斑に気づき、


正常皮膚との境目はモヤモヤしていたそうです。


大きさは横4㎝、縦3㎝位の大きさでした。


特に原因に思い当たることはなく、大きな環境の変化もなく、


学校でもストレスが多いわけではなく、また喘息や花粉症などのアレルギー症状も


ないとのことでした。


痒みや乾燥などがなかったため放置していましたが、同年11月13日に


別件で皮膚科受診して白斑が出現したことも相談すると尋常性白斑と診断され、


その日にUBAレーザーを照射し、さらにトプシムクリーム(ステロイド剤)を


朝晩塗布するように指示されたそうです。


そして週に1、2回のレーザー照射の方針で、4日後の11月17日に


2回目のUVA照射をしたそうです。


しかし照射後、白斑が照射前と比較して目立つ事や白斑の周りの正常皮膚の赤み、


白斑とのコントラストが目立つようになり、


またトプシムクリームを塗ると、時間が経つと塗布部分が白く浮き、


学校でも指摘されるので本人も嫌がり4日間程しか塗布せず、


以後は何もせず様子をみていたとのことでした。


そして2週間後の同年の12月1日にオンライン診療を希望され、


当院を受診されました。


送られてきた写真の白斑は3月とほぼ同じとのことでした。



(写真1:11月28日撮影。右耳後部から下に向かって右頸部横にかけて横4㎝、縦3㎝のやや四角形をした境界の不鮮明な薄いピンク色の白斑がみられ、それに続いて右耳たぶの前にも横1㎝、縦3㎝の半円形の境界不鮮明な薄い肌色の白斑がみられる)




白斑以外の症状として、おでこ・襟足・背中に寝汗をよくかき、


足を出して寝ており、また布団をはずしてしまうことがよくあり、


また風呂上がりは暑くて中々服を着ない、学校からの下校時に暑いからと


よくジャンパーをはずすなど、暑がりとのことでした。


しかし睡眠は十分に取れていて、9時間以上寝ているそうです。



【経過】初診時に成人の通常の約半分量の、15種類の生薬からなる煎じ薬を


お試しで3日分処方しました。


しかしまずくて全然飲めなかったそうです。


そのため、煎じ薬を薄めて飲むか、あるいはハチミツなどを混ぜて飲むように


とアドバイスした所、煎じ薬の50㏄に50㏄のお湯を入れて100ccにしたら


飲めるようになったそうです。


そして3日分の煎じ薬を10日ほどかけて飲み切ったそうです。


2週間後の12月15日には、清熱作用のある石膏を倍量に増やした以外は


すべて前回処方した生薬をさらに半分に減らし、13種類の生薬からなる煎じ薬を


1日2回飲むように処方しました。


その後、2週間後の12月26日には、寝汗をかくことが少なくなり、


寝ている時は足を出して寝ているが朝方は引っ込めている、


かけ布団をはずしていることが少し減ったそうです。


そして煎じ薬は味に少し慣れて1日2回飲めるようになったそうです。


白斑の大きさはそれほど変わりはないが、白斑の中に茶色のものが


ポツポツと出てきて、普通の肌と白斑の間の境目がさらに


ぼやけるようになったそうです。


さらに25日後の翌年1月19日には白斑の中にさらに茶色のものが少し増え、


正常部分との境目がさらにぼやけ、白斑も少し小さくなり、


白斑部分が目立たなくなったそうです。



(写真2:翌年1月12日撮影。右耳後部から右頸部横にかけての白斑は白斑の中に所々、茶色の色素が増え右耳たぶの前の白斑も縦2㎝ぐらいになり、境界もさらに不鮮明になり、少し小さくなっている印象がある)




煎じ薬は清熱作用のある牡丹皮と石膏を少し増やした以外は前回と同じです。


1月31日受診時、右耳後部から右頸部横にかけてと右耳たぶの前どちらの白斑も


薄い肌色で目立たなくなってきており、


寝汗はおでことか鼻の下に少しかいているが背中の寝汗は減り、


足を出して寝なくなったそうです。


さらに1カ月後の3月1日とその1カ月後の4月4日にも同様にほぼ白斑が


分からなくなったという報告を受けました。





(写真3:3月31日撮影。右耳後部から右頸部横にかけての白斑と右耳たぶの前の白斑、どちらも若干ぼんやり白いぐらいでほぼ分からない)






6月27日(終診)煎じ薬を飲まなくなって約2カ月近くなり、


夏になり日焼けもしているが特に白斑が目立つようなこともなくなったそうです。



(写真4:6月24日撮影。右頸部の辺りがうっすら白い感じがあるがほとんど白斑は目立たない)


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