口腔から肛門まで消化管のあらゆる場所に炎症が起こる炎症性腸疾患です。 特に小腸から大腸にかけて、縦走潰瘍や敷石状粘膜が不連続に存在し、腸管壁の全層にわたって、粘膜から筋肉層まで、深い潰瘍性病変を起こす難病といわれています。
発症年齢は10~20歳代の若年者に多く、男女比が2:1と男性に多い病気です。 喫煙やピルの服用で、発症しやすくなることが知られています。 主な症状は、出血を伴う下痢、腹痛、発熱、食欲不振、疲労感、体重減少、口内炎などがあります。また、消化管以外に、関節炎、結節性紅斑、虹彩炎などがみられることもあります。
同じ炎症性腸疾患でも潰瘍性大腸炎は大腸に限定的である点がクローン病と大きく異なります。 このようなクローン病、潰瘍性大腸炎はともに原因不明ですが自己免疫疾患の1つと考えられています。 西洋医学的にはステロイド剤、免疫抑制薬、下痢止めなどが使われていますが難治性であることには変わりありません。 漢方的にはクローン病特有の下痢症状は主に脾胃気虚(胃腸機能全体が弱まった状態)によるといわれています。しかし、激しい腹痛や悪臭の下痢便は多くの場合、湿熱の関与が示唆されています。
湿とは身体内において有効活用されない余分な水分で、脾胃気虚によっって産み出される病的物質です。この湿の長期間の放置やストレスなどによって熱を帯びたものが湿熱です。 したがって、基本的にクローン病の根本には脾胃気虚があり、さらに脾胃気虚などによって生み出された湿熱がクローン病特有の症状を起こしていると考えられます。
漢方的には主に煎じ藥が用いられます。 人参、黄耆、大棗、白朮、甘草などで脾胃の気を補い、茯苓、猪苓、沢瀉、蒼朮などで、下痢などの水分をさばき、黄連、オウゴン、黄柏、山梔子などで熱を冷まします。
クローン病は完治することは、難しいのですが、下痢や腹痛などの不快な症状を漢方を用いて、少しずつ軽快していくのは可能ですので、是非1度漢方薬を試して頂きたいと思います。