日常会話でよく「らちが明かない」といいますよね。 その意味が分かっていても、その「らち」の語源を知っている人は意外と少ないのではないでしょうか?
「らちが明かない」とは、ものごとがいつまでたっても進展しない、はかどらないという意味でよく使われます。
この「らち」は漢字で「埒」と書き、囲いや仕切りを意味します。もともと馬場の周囲に巡らした柵のことをさしていたそうです。しかし、その後、物の周囲に、また仕切りとして設けた柵、改札口付近の柵、物事の区切り、さらに限界、などの意味で使われるようになったそうです。
もともとは「物事の決まりがつく」「かたがつく」などの意味で、「埒が明く(らちがあく)」と使われていたそうですが、現代では否定表現の「埒が明かない」と使われることが多くなりました。
また、「開かない」ではなく「明かない」と書くのは、「物事が順調に進まない」いう意味で使う「明かない」の方が妥当なのでこのようになったとされています。
「らちが明かない」の語源は諸説ありますが、その1つに平安時代に競べ馬 (くらべうま)(馬の競走) という行事が神事として行われていました。その競べ馬も,馬場の囲いの埒が開かれないことには始まりません。そこで,予定されていたものごとの第一歩目が踏み出されれば,その後も予定どおり順調に進行するというわけで,その第一段階が開始されることを 「埒が開く (あく) 」 と言ったそうです。
最後に「不埒(ふらち)なヤツ」とよく言いますよね。 「埒」はある意味では、出入り禁止の柵なのですが、中には、その柵を無視して越えてしまうやからがいたそうです。そういった、規則を無視してけしからぬことをしでかすヤツを「不埒なヤツ」と言うようになったそうですよ。