帯状疱疹は子供の頃に患った水ぼうそうのウィルスが神経の根元に潜んでいて加齢や疲れ、ストレスなどで身体の免疫力が低下したときに再び活性化することで発症します。5~6人に1人がかかるといわれ、その名前は、体の片側の一部に神経に沿って皮膚に赤い斑点、水疱が帯状にできることに由来しています。
帯状疱疹の後遺症として特に多いのが帯状疱疹後神経痛です。帯状疱疹の水疱・かさぶたが消えたあとも痛みの症状が治らないことです。60歳以上の帯状疱疹患者では3分の1に帯状疱疹後神経痛が出現するといわれています。
特に帯状疱疹は発疹が生じて3日以内に抗ウイルス薬の服用を開始して、7日間のみ続けることが大切ですが、治療が遅れると帯状疱疹後神経痛が残りやすいと。帯状疱疹は治療が早いほど痛みも軽く、完治までの時間も短くなります。
帯状疱疹後神経痛の原因は、水痘帯状疱疹ウイルスにより神経の細胞そのものが損傷してしまうからと考えられています。神経の細胞は、通常の細胞よりも修復するのに時間がかかってしまうので、この痛みが治まるのに長い時間がかかってしまいます。また、神経の細胞が破壊される痛みは非常に強く、通常の痛み止めではなかなか治らない場合が多く、数ヶ月から数年痛みが持続するといわれています。
その痛みは、持続的で焼けるような痛みや断続的で繰り返し刺すような痛みが混在していたり、時間とともに変化するといった特徴があります。
特に耳から顔の範囲に帯状疱疹ができるラムゼイ・ハント症候群は約4割の人に帯状疱疹後神経痛が生じたり、顔の筋肉が麻痺して表情を作りにくくなったり、まれには失明につながることもありますので、できるだけ早く抗ウイルス薬などの治療を始めることが大切です。
現在、帯状疱疹後神経痛に対して、神経ブロックやレーザー治療、抗てんかん薬、抗うつ薬、さらにプレガバリン(商品名:リリカ)やワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(商品名:ノイロトロピン)などの様々な治療が行われていますが、治療に難渋する事も少なくありません。
しかし、漢方藥により、短期間に劇的に痛みが軽くなったり、消失することがありますので、是非一度試して頂きたいと思います。
日常生活の注意点として、①入浴してよく温める、②身体を冷やさないようにする などがあげられていることから鎮痛と温熱作用のある「附子末(1.0~5.0g/日)」あるいは附子を含んだ麻黄附子細辛湯、桂枝加朮附湯などの投与により劇的に改善することがあります。
しかし、これらの治療でも一部の人、特に気血不足のみられる高齢者では痛みが治まらない場合があり、その時は体に潤いを与える一貫煎と血と気の循環を改善する補陽還五湯の煎じ薬が有効なことがあります。